1. IBISのパッケージモデル
  2. IBIS以外のパッケージモデル
  3. 各種パッケージモデルの特徴
  4. パッケージモデルの比較例

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IBISのパッケージモデル

IBISにはパッケージに関する3種類のキーワードがあります。

  1. [Package]
  2. [Pin]
  3. [Define Package Model]
  • 多くのEDAツールでは、上記何れかのキーワードを使用することが可能です。
  • キーワード毎に定義できるパッケージの特徴が異なるため、シミュレーションの目的に応じて適切なパッケージモデルを使用する必要があります。

IBIS model

図-3.1 IBISバッファモデル

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Package

キーワード: [Package]
必須: はい
概要: 全てのピンに共通で適応されるコンポーネントのパッケージモデルです。
1段の R、L、C (集中定数)で定義されます。
ピン間の相互結合は含みません。

図-3.2 [Package] の定義例

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Pin

キーワード: [Pin]
必須: はい
概要: ピン毎のパッケージモデルです。
1段の R、L、C (集中定数)で定義されます。
ピン間の相互結合は含みません。

図-3.3 [Pin] の定義例

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Define Package Model

キーワード: [Define Package Model]
必須: いいえ
概要: ピン毎のパッケージモデルです。
マトリクス形式のR、L、Cで表現されます。
Sub-Parameterの定義によっては、ピン間の相互結合を考慮できます。
このキーワードをサポートしていないEDAツールでは、この定義は無視されます。
  • 以下の例では、パッケージモデル”test”がマトリクス形式で定義されています。

図-3.4 [Define Package Model] の定義例

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Matrixの種類とMatrix定義

キーワード: [Resistance_Matrix], [Inductance_Matrix], [Capacitance_Matrix]
必須: [Inductance_Matrix][Capacitance_Matrix]は必須。
[Resistance_Matrix]はオプション。
記述のない場合はゼロとみなされる。
Sub-Params: Banded_matrix, Sparse_matrix, Full_matrix
(引用:IBIS Ver6.1 P146~)
概要: サブパラメータはMatrixの開始とフォーマットを表します。
  • Matrix定義
    • 基板上の配線には小さなR,L,C成分が存在し、配線および配線間の相互結合の関係を定義するため、Matrix定義があります。
    • また各Matrixのデータ量を小さくするためにサブパラメータがあります。サブパラメータはMatrix定義の直後に記述し、Banded_matrix, Sparse_matrix, Full_matrix のいづれかを指定できます。
  • [Resistance_Matrix]
    • パッケージの配線間の抵抗値をマトリクス形式で表現します。
    • 抵抗値を考慮しないときは省略可能です。記述の無い場合はゼロとみなします。
  • [Inductance_Matrix]
    • パッケージの配線間のインダクタンス値をマトリクス形式で表現します。

図-3.5 Inductance_Matrix解説

  • [Capacitance_Matrix]
    • パッケージの配線間のキャパシタンス値をマトリクス形式で表現します。

図-3.6 Capacitance_Matrix解説

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Sub-Parameter

  • Sub-Param :Banded_matrix
    • 他のピンとの関係が全て同一の場合、1つの定義で他のピンを定義します。
    • 自分のピンのみ定義し、他のピンとの関係を定義しない場合には、[Bandwidth]を “0”と記述します。

記述例:
No coupling
[Resistance Matrix]   Banded_matrix
[Bandwidth]   0
[Row]   1
10
[Row]   2
15
[Row]   3
15
[Row]   4
10

図-3.7 Banded matrix解説

(引用:2014 ASIAN IBIS Summit, Yokohama / Shinichi Maeda@KEI Systems)

  • Sub-Param :Full_matrix
    • 自分のピンおよび他のピンとの結合成分を全て記述します。

記述例:
All pins coupling together
[Inductance Matrix]   Full_matrix
[Row]   1
3.04859E-07   4.73185E-08   1.3428E-08   6.12191E-09
[Row]   2
3.04859E-07   4.73185E-08   1.3428E-08
[Row]   3
3.04859E-07   4.73185E-08
[Row]   4
3.04859E-07

図-3.8 Full matrix解説

(引用:2014 ASIAN IBIS Summit, Yokohama / Shinichi Maeda@KEI Systems)

  • Sub-Param :Sparse_matrix
    • 指定したピンとの結合成分のみを定義し、指定しないところは”0”とします。

記述例:
Matrix between selected pins
[Capacitance Matrix]   Sparse_matrix
[Row]   1
1 2.48227e-10
2 -1.56651e-11
[Row]   2
2 2.51798e-10
3 -1.56552e-11
[Row]   3
3 2.51798e-10
4 -1.56651e-11
[Row]   4
4 2.48227e-10

図-3.9 Sparse matrix解説

(引用:2014 ASIAN IBIS Summit, Yokohama / Shinichi Maeda@KEI Systems)

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優先順位と特徴

  • 優先順位
    • [Define Package Model] > [Pin] > [Package] の順で優先されます。
    • [Define Package Model] [Pin]のどらでも定義されていないPinは [Package] の値(Global)が適用されます。
    • [Define Package Model]は、.ibsファイル内表記と、外部の.pkgファイル表記が許されており、両方ある場合は、.ibsファイル内表記が優先されます。
  • 特徴
    • [Package]では等価回路モデルが単純なR,L,C1段構造のため、数百MHz以上の周波数帯では 誤差が大きくなります。[Package Model]において多段R,L,C回路が使えるようになり、高周波帯 (GHz帯)の精度向上に有効です。
    • [Package]ではPin間や配線間の結合が定義されていないため、クロストークノイズの解析ができません。[Define Package Model]の[Matrix]定義によりパッケージ内配線間の相互結合を考慮することができ、クロストークノイズの解析が可能です。

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IBIS以外のパッケージモデル

  • TouchstoneフォーマットのSパラメータで表現したパッケージモデルがあります。
    • ピン間の相互結合を考慮した周波数依存の特性です。
    • 高速シリアル IFのデバイスモデルとして、IBIS-AMIとともに提供されるケースが多いです。

図-3.10 Sパラメータモデル(Touchstoneフォーマット.sNp)の例

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各種パッケージモデルの特徴

  • パッケージモデルによって考慮できる特性が異なります。
集中定数 結合考慮 分布定数 高周波損失考慮 ピン配列記載 規格
[Package], [Pin] IBIS
[Define Package Model] IBIS
EBD
(ELECTRICAL BOARD DESCRIPTION)
IBIS
S-parameter Touchstone

図-3.11 各種パッケージモデルの特徴

※上記は全てIBIS Open Forumで管理しているもの。
この他にIBIS-ISS規格-モデルやLPB Forumで管理している記述法などあり。

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パッケージモデルの比較例

  • 下記のバスラインに対して、ドライバ/レシーバICのパッケージモデルを変えた場合のレシーバ端の波形をシミュレーションで確認します。

図-3.12 トポロジー

図-3.13 Rx2レシーバピン端波形

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まとめ

  • パッケージモデルについて
    • IBISには3種類のパッケージモデルが定義されています。
    • IBISの他にSパラメータで表現したパッケージモデルがあります。
    • パッケージモデルにより考慮できる特性が異なります。

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